ゴミ屋敷とは 3
「ゴミの捨て方が分からず、収集癖もあってゴミ屋敷化」
町内会長をしております。うちの町内に昔から住んでいる一家がいましたが、この5年ほどの間に子供たちが独立して遠くへ引越しをし、奥さんが亡くなりました。
その頃から、庭に壊れた自転車やパイプイスなどが目につくようになり、看板とか何かわからない鉄くずのようなものが並び始めました。そして、外から見ても、部屋の中にビンがたくさん入った袋やゴミ袋が増えていくのが分かりました。
家の前を通ると臭いが気になるようになってきて、どうしたのかと思って、民生委員さんと一緒に訪ねると、ずっと奥さんにゴミの処理を任せきりだったため、ゴミの日がいつか分からず、どこに捨てるのかも知らなかったそうで、それがきっかけで片付けることが面倒になりゴミが溜まり始めたとのことでした。
しかし、壊れた自転車などわざわざ拾ってきたと思われるものはどうしてか、と訊くと、前から自転車が欲しかったので修理すれば乗れると思って持ってきたが修理できなかった、という話でした。
パイプイスは修理する時に座るから必要だと言います。じゃあ、手伝うので片付けましょうと言うと捨てたくない、片付けるとどこに何があるかわからなくなる、と言いだしてドアを閉めてしまいました。
そういうことを何度か繰り返して、とうとう市役所にも相談をして行政の方で片付けをして貰いました。
当日は、ご本人は「捨てたくない」の一点張りで片付けたるのを嫌がり、運び出したものをまた運び入れようとして少しもめましたが、最後はあきらめてくれました。
お子さんたちに連絡をしていたので、掃除の当日には立ち会ってくれましたが、あまりのゴミの量にびっくりされていました。
後日談ですが、その方は息子さんと同居することになって引っ越していかれました。テレビの中でのできごとと思っていましたが、実際にゴミ屋敷になっていく経過をみてちょっとしたきっかけで片付けられなくなってこんなにゴミが溜まるのだなと考えさせられました。
(67歳・東京都在中 男性)